mikenyan88の日記

折に触れて自分の思ったことをアップしていきます。

白黒付かぬ世界

新潟県の市立病院で筆者と同年代の女性医師が労働基準法で定められた

以上の過剰な残業のためにうつ病を発症して過労死とされた事案を聞いて、

またかと眉をしかめたくなったけれど、自分が身を置く芸能界とその周りの

スタッフを例にブラック企業が害悪のように言われるけれど、

それならば芸能界なんてみんなブラック労働じゃないかと持論を述べた

お笑い芸人のカンニング竹山のことばが頭をよぎって、事務職などの

ホワイトカラーと医師や芸能人、プロスポーツ選手を一義的に労働者と

ひとくくりにしてどんな世界であっても過剰労働がけしからんということが

ほんとうに正しいことなのだろうかという思いがしました。

カンニング竹山は特番の収録などで軽く一回の収録が10時間を超える

ことも珍しくないテレビの世界に杓子定規のように労働基準法のメジャーを

当てはめることは無理があると述べていたけれど、実際そうだと思うし、

人気商売である芸能人にとってはいつ寝ているのと言われるぐらいが花と

いうのも偽らざる本音と思うのです。

彼が一般企業の勤め人ならば会社が保障してくれる健康診断、健康保険、

厚生年金など我々芸能人はすべて自己責任であって、いつ芸能界を干されて

社会保険料や税金が支払えなくなるかわからないという不安といつも戦っていると

述べていたところもどこか考えさせられるところがあって、非正規労働者

増えてきた昨今、残業時間の議論だけではなく個人事業主やパートタイマーの

社会保障の分野も再検討する必要があるのではないかと思いました。

冒頭の新潟県の病院の話に戻ると将来ある医師が未来を絶たれたことは

慚愧に堪えないけれど、一方で患者目線になれば医師の働き方改革はいいけれど、

それに伴って病院の診療時間が短くなってはいちいち仕事を休まないと

いけなくなったら仕事をクビになってしまうよとか救急病院の夜間診療が

縮小されたら子どもが深夜に急に発熱したときに困るという意見もあると

思うし、筆者自身も愛知県内のある病院に入院中深夜に腹痛を催したときに

本来ならば腹痛を診察するべき内科の医師が不在でたまたま当直で病院に

残っていた精神科医に専門外であるはずの腹痛の薬を処方して貰って

どこか釈然としない思いが残った経験があります。

さて、医師や芸能人が優雅に見えるイメージとは裏腹に過酷な状況下で

日々の仕事をこなしていることはここまで書いてきたとおりですが、

病院の事務職員やテレビ局や制作会社の社員のスタッフは一般のホワイトカラーと

同じく働き方改革の中で残業や休日出勤の制約を受けることになりそうだけれど、

これについても先のカンニング竹山のことばが引っかかって、我々芸能人と

雇用形態の違う社員のスタッフは労働基準法通りに休んでくれればいいけれど、

現場の人間からすればスタッフの休みのために収録の日程が変わっては

混乱が生じるとか、いざ収録というときに余人をもって変えがたいという

スタッフがいないのは痛いと述べていて、不規則な勤務形態を強いられる

病院や流通、飲食業の世界でも裏方で支える一般社員が暦通り、

労働基準法通りに休んでは現場や顧客に混乱が生じることは十分に

ありうるし、やはり働き方改革というものは杓子定規に残業時間の上限を

決めるよりもそれぞれの労働の現場の事情を踏まえた上で

制限を緩和するなり一律の規制から外すなりの対応も必要に

なってくると思うのです。

最後にカンニング竹山のことばで触れておきたいのが彼が芸能界の大先輩の

堺正章から言われたという生き馬の目を抜く世界で精神的に潰れないために

何でもいいから楽しみを持て、芸能界という狭い世界に留まらず

オフの時間を使って違う世界の人間と交流を持てというものであって、

筆者の社会人時代を振り返ってみると、ブラック企業の中でも

残業でクタクタになった後終バスを待ちつつファミリーマート

求めた肉まんやフライドチキンを手に暖をとるというささやかな楽しみが

あったからこそどん底を乗り越えて今まで生きてこられたのだと思うけれど、

異文化を持った人間との交流については狭いシステム開発の世界に

閉じこもっていたために不十分であったと思うのです。

冒頭の新潟県の医師にしろ、昨年話題になった電通の女性にしろ、

そして筆者にしろ忙しい中でも堺正章のことばを遵守できていれば

結果も違ったように思うのですがいかがでしょうね。

風通しの悪い世界に身を置いている人間にとってはたとえひとときでも

違う視点を持った人間と接点を持つことは有益と思うし、

違う世界の人間を通して改めて自分自身や自分の仕事を客観視に

見つめ直すこともできるというものではないでしょうか。