mikenyan88の日記

折に触れて自分の思ったことをアップしていきます。

ツキとエンピツ

深夜番組にも関わらず脅威的な視聴率を獲得する一方、内容が下品とか

若手、無名のお笑い芸人を酷使しているようだという批判意見も

放送当時から少なからずあって、日本テレビの白歴史とも黒歴史とも

取ることのできそうな電波少年シリーズ。

この電波少年シリーズの名物企画のひとつであった懸賞生活という

コーナーで一躍時の人となったのがお笑い芸人のなすびです。

その彼が電波少年シリーズの放送当時から故郷の福島県を襲った未曾有の

大災害まで振り返っていたインタビューには電波少年のファンであった筆者も

思うところが多々あって、一部を引用しつつ筆者の私見も

交えて述べてみたいと思います。

今のテレビの世界でもドッキリと称してタレントがディレクターに目隠しを

されてどこかへ連れて行かれる場面が放送されることがあるけれど、

目隠しを取ったら美味しいものが出てくるとか、憧れの前田敦子

眼前にいるとかハッピーサプライズのような番組も多いし、

そうでない場合も顰蹙を買わない程度に演出が抑えてあって、

基本的に誰でも動画をアップできてしまうようなYouTubeのような動画サイトや

ごく一部のCS放送を除けばこの電波少年のなすびのように目隠しを

取ったらテレビもない部屋で外部との連絡を遮断されて、下着まで

懸賞で当てろといって身ぐるみ剥がされるようなバラエティは見かけないし、

今地上波のテレビで同じことをやったら放送局の存亡に関わるような

スキャンダルに発展することは間違いないと思うのです。

当のなすびの感想はやはり当事者しかわからない赤裸々なものであって、

犯罪者でもないのになぜ独房のようなところにいきなり入れられて

親とも連絡が取れなくなったのか、素っ裸で乾パンを食うぐらいしか

楽しみのない中で苦痛極まりないいつ終わるかわからない

懸賞のハガキ書きの単純作業を極限の精神状態の中で続けていた自分が

お茶の間の視聴者の笑いの的になっていたのは正直どうだろうか、

男はつらいよでお馴染みの渥美清のような喜劇役者を志していたのに

こんないじめそのもののようなことをやらされて笑い者になっていては

自分の進みたい進路と違うのではないかというものでした。

筆者が放送当時のなすびと同世代だった頃を思い起こしてみると

「独房」をオフィス、懸賞のハガキ書きをプログラミングのための

パソコンとの格闘と換言すればまさに同じような境遇に遭っていたように

思うし、幾ら糧を得るためとはいえど愛する家族とも連絡が取れず、

右も左もわからない中でがむしゃらにやっているのを笑い者にされたり

筆者のように過重労働しながらも努力が足りないと上司に一喝されては

楽しみのない中で単純作業をエンドレスにやっていることが報われないと

思うし、このブラック企業で望まぬ仕事を強いられた結果不自由な身体に

なった筆者からすれば、精神的にどん底になりながらも正気のままで

耐え抜いたなすびにはただただ白旗を上げるしかないと思うのです。

さて、この電波少年シリーズからは元猿岩石の有吉弘行や、松村邦洋

松本明子など今も第一線で活躍するスターも輩出しているものの、

なすびの場合は続編のような韓国での懸賞生活の企画が終わった後は

テレビの世界から一線を引く形になって、筆者は個人的には

彼が一発屋であったというよりも筆者が会社に酷使された上に

厄介払いされたようにテレビの世界に見限られ捨てられたと思うのです。

このように全国スターから転落した芸能人は芸能界から足を洗って

しまうことも珍しくないものの、なすびの場合は地元への恩返しといって

十年来福島県のローカル番組のレポーターで活躍していたということであって、

いかにも渥美清に憧れていた彼らしいと思うし、記事は足で書けを

字でいくレポーターは彼にとって天職であったと思うし、

日本テレビしかり電通しかりカッコいいように見えるけれど中身は、、、

という「一流」企業で働くことがほんとうに正しいことなのかを

日本社会に問いかけているように筆者には思えるのです。

彼が実直にレポーター稼業に取り組んできたことは福島第一原発事故

被災地でロケでお世話になったという老女に逆に激励されたという逸話が

証明していると思うし、福島県そのまんま東とばかりに風評被害

払拭のために物産展に駆けつけたり、東日本大震災の復興の一助にと

エベレスト登山を志したのも売名行為どころかリアル伊達直人だと思うし、

一般人でも福島県を離れる住民の多い中でなかなかできることではないと

思うのです。

福島県の一日も早い復興を願い講演活動も行っているというなすびですが、

働き方改革への大きなうねりが起こる中でやはり筆者は

ブラック企業ということばが一般名詞になる遥か前に芸人という

稼業で天と地を味わった経験を生かして、就職活動中の大学生、

短大生や、企業の採用、人事担当者向けに電通の悲劇を二度と

繰り返さないための講演を行って欲しいと思うのです。

彼に地獄を味わせた日本テレビの新しい本社と、尊い犠牲の上に

働き方改革の出発点となった電通の本社が東京都の汐留で

隣り合わせというのは何か運命を感じるところがあるし、

くじ引きや懸賞には当たったけれどほんとうにツキがあったのだろうかと

自問自答するようななすびの金言は電波少年シリーズを知らない世代の

心にもきっと響くと思うのですがいかがでしょうね。