mikenyan88の日記

折に触れて自分の思ったことをアップしていきます。

精悍な一球

精悍な顔つきで構えた銃は、他でもなく僕らの心に突きつけられてる、、、

昨年惜しまれつつ解散したSMAPの名曲の一節です。

志半ばでプロ野球の世界から足を洗って、今は関西圏でJR西日本の駅員と

して活躍する元甲子園球児のインタビューを読んで、冒頭の歌の構えた銃という

文言を投じた球と置き換えると、彼がほんとうに伝えたいことを表しているように

筆者には思えるのです。

この元甲子園球児の青年は、華々しい成績を引っさげて夢であった

プロ野球福岡ソフトバンクホークスに投手として入団したものの、

甲子園が終わった時点で満身創痍であって、プロ野球で十分なパフォーマンスが

できる自信のないまま強がりのようなことをいって生き馬の目を抜く世界に

飛び込んだということで、侍ジャパンに選ばれた選手と渡り合った

高校時代の実績から周囲に期待されて自信がないとかすぐに潰れてしまうのでは

ないかと言い出せなかったようで、分野は違えどエリートコースを歩いてきて

嘱望されて一流と言われる企業に入ったものの体力が追いつかず潰れて

しまった筆者と重なるものがあるし、誰だって大なり小なり挫折を

くぐり抜けて人生を歩んできたと思うので、彼の人知れぬ苦悩と自分自身の

人生経験を重ねてみてしまう社会人も筆者だけではないと思うのです。

自信がないならば入団を拒否する選択肢もあったのではという人もいる

だろうけれど、東京大学に入るよりも難しいプロ野球への入団を

断ることはたやすいことではないし、甘いと言われるかもしれないけれど

満身創痍で自信がないと言い出せなかった彼を責めることはできないのでは

ないかと思うのです。

彼の発した自分にとってはプロ野球に入ることがゴールであって、

プロ野球入団を叶えた時点で目的が達成されてしまったということばも

筆者には突き刺さるものがあるし、一流大学や一流企業に入ることだけを

主眼に置いたような我が国のキャリア教育の問題点をこのことばが突いている

ように思うのです。

彼が泡沫の夢を味わった福岡ソフトバンクホークスは、豊富な資金力の

ある親会社の庇護の元でセリーグ読売ジャイアンツよろしく

フリーエージェントや高額な契約金の紐づくドラフト会議での指名で

即戦力選手を次々獲得して、この福岡ソフトバンクホークスの選手だけで

侍ジャパンが組めるのではと思ってしまうけれど、一方で

我が国のプロ野球球団では珍しい3軍制を取るほど多くの育成選手を

抱えていることも事実であって、クライマックスシリーズの常連と

言われる一方で夢破れて失意のまま球界を去ることになった若い戦士の存在も

忘れてはならないし、この球団の孫正義オーナーには、王貞治球団会長が

読売ジャイアンツを離れた意味や、オリックスバファローズ阪神タイガース

GMを務めた故中村勝広氏の契約金ゼロでプロ野球のレベルに達しない選手を

かき集めても球界のためにも失意を味わうことになる若者たちの

ためにもならないということばを噛み締めて欲しいところです。

さて、この元甲子園球児の青年が務めるJR西日本は忌まわしい

福知山線脱線事故を引き起こした企業であって、彼もそれを承知の上で

安全第一を一丁目一番地に職務に邁進しているということで、

さすがはスポーツマンシップの世界に生きてきた青年のことばは違うと

筆者は胸にグッとくるものがあったし、伏魔殿のように言われる電通を志望し

自分はブラック企業に潰されることはないと強がる就職活動中の学生諸氏も

痛ましい事案の起きた企業で働く意味や体力の限界を超えて働くことの重み、

辛いときは辛いということの大切さを彼のことばから感じ取って欲しいと

思いました。

電通を志望する学生以外にも安倍晋三首相や働き方改革に取り組む

経団連や連合の幹部、限界を超えて働く働きすぎマンなど

阪神甲子園球場で投げていた当時より精悍になった顔つきの

青年が投じた重い重い一球を受け止めるべき人間は数多くいると

思うのですがいかがでしょうね。